ここは昭和55年(1980)までNHK教育で放送されていた「みんなの科学・たのしい実験室」を懐かしむホームページです。当時のメモをもとに番組の放送内容を紹介します。

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#500320  バケツ鉱石ラジオ
出演:菅 宮夫さん 
バケツ鉱石ラジオ(この回は2012-04-28に再放送されました)
▲管理人はこの回の放送をみてませんでしたが,サイトウさんから貴重な資料をいただきました。放送と同じ頃に発行された『模型とラジオ』誌の中の「バケツ型ゲルマ・ラジオの作り方」という製作記事です。
おそらくほぼ同内容の実験ではなかったかと思いますので,代わりに紹介しておきます。
なおMADさん より,左の画像の存在を教えていただきました。おそらくこの放送の一場面に違いありません。右がゲストの菅 宮夫氏(JA1CO),左が司会者の桂田実さんです。

ところで,なんでまたラジオを作るのに「バケツ」が出てくるのか・ということでちょっと解説しておきます。
これはゲルマ(鉱石)ラジオというのに理由があります。ゲルマラジオというのは何の増幅回路も持たないため大変出力が弱く,イヤホンもクリスタル形という感度の高いものを使わなければなりません。
そんなラジオですが,同調回路の性能を高める事でスピーカーを鳴らす事ができるようです。その同調回路に必要なのが直径の大きいコイルで,これをバケツを使って作ろうという事です。また,大きなコイルはそれ自体がアンテナの役目も果たすようになり,感度を高めるのに有効となります。
なお,ゲルマラジオの出力に比べスピーカーのインピーダンスは低いので,トランスでマッチングをとります。

バケツ鉱石ラジオ_01

以下に実体配線図を示しておきます。
バケツ鉱石ラジオ_02

また,調整と受信の部分の記事内容を示しておきます。
<<調整>>
アンテナを付けてクリスタルレシーバーで受信すれば,一応受信できるはずです。コイルの巻き方で周波数のカバー範囲が変わる事があるため確認してください。高い周波数の放送局が聞こえない場合は,バリコンのつながっているタップを下げて,コイルの巻数をへらします。低い方が聞こえない場合は,タップを上げてください。筆者の場合は37回で530〜1600kHzをカバーしました。
次にさきほど仮止めした線を,スイッチにきている各タップにつないでみて,一番大きな音の出るところにハンダ付けして下さい。筆者の場合,レシーバーを使うと25回か20回目,スピーカーの場合は20回目が良いようでした。
<<受信>>
このラジオには増幅器がまったくありませんので,大きい音を出すためには良いアンテナ,良いアースが必要です。アンテナはただの針金を使ってもそとに高く張ればかなりよく聞こえます。
アンテナや放送によってスイッチを切替えて,一番大きな音が出るようにします。放送局が近いとレシーバーでは歪むほど大きな音が出ます。
この状態でイヤホーンプラグを抜くと,スピーカーから音が出てきます。ベッドラジオとして,枕もとで鳴らすなら十分実用になります。レシーバーだけならアンテナなしでも受信できます。スイッチがありませんので,寝るのにうるさいときは,かるくけとばしたりします。それでも遠くの方でモソモソ鳴っていますが,電気代がタダなので気にしないことにします。
サイトウさん・ありがとうございました!
  ・ ・ ・ ・
※なお,ゲルマラジオやラジオの仕組みに関しては次のHPが参考になります。
ゲルマラジオの混信を防いだり,音を大きくする実験をしています。
テーマ2:ゲルマラジオ博物電機研究所(小勝負さん)
ゲルマラジオの仕組みや短波を受信する方法についてのコンテンツがあります。
初歩のラジオ実験室

ゲルマラジオ回路図▲その後,Nishinagaさんのノートにより,番組での詳細が判明しました。
上のラジオとの違いですが,まずコイルが若干複雑で,3〜4T・25T・4Tの3つに分けて巻かれています。そして鉱石はゲルマニウムダイオードSD-46で4本をブリッジで使います。
(2001.12.15)

ゲルマラジオ▲右の画像は,管理人・Nishiが2002年に子供と作成した,段ボール紙が材料の大型スパイダーコイル使用のゲルマラジオです。コイルの直径はφ350mmで,各部の寸法比率はかなり異なりますが,まちがいなくスパイダーコイルです。
大きさがある分,一般のスパイダーコイルやバーアンテナより,かなり感度は高いようです。電波が強いところだとスピーカーを鳴らせるかもしれません。
実験のため,ビニール線とエナメル線をそれぞれ6Tずつ巻いてみました。両者に思ったほど感度の差はありませんが,共振周波数の幅に差があります。いずれにせよ同調範囲が狭いのは確かで,多くの局を受信するためには,模型とラジオ誌のバケツラジオのようにタップを出して切り替える必要があります。
なお,このコイルのアイデアは次のサイトを参考にしました。
 → ゲルマラジオとピンホールカメラ
昔,下敷きを切ってスパイダーコイルの芯を作ったことがあります。しかしこの段ボールによる自作は,材料が容易に入手できて加工が楽な上,高い感度が得られる点で,自作実験には大変優れた方法ではないかと思います。
 → スパイダーコイル(AM用) / 科学教材社
(2007.05)


傘ラジオ by ななさん作▲鉱石・ゲルマラジオの製作実験というと,最近「傘ラジオ」なるものが注目されています。
東京高専の小池先生が中心となって開発されたもので,100円傘をアンテナコイルの巻き枠に使い,紙で裏打ちしたアルミフォイルと傘の心棒でバリコンを構成します。
身近な日用品でできるだけ部品を自作し,また科学教室でも扱いやすいよう,製作が容易で,製作時間も短くなるように,いろいろ改良・開発されたものです。
 → この傘→ラジオなんですっ! / 東京高専 小池・阿津研による傘ラジオホームページ

このエントリにコメントいただいた,ななさんがご自身のブログに傘ラジオの挑戦記録を公開されています。
完成してとりあえず,NHKはすぐ受信できたものの,他の局が受信できない。そこから,いろいろな試行錯誤の上,受信できるようになるまでの道筋は,研究開発そのものです。
 → 傘ゲルマラジオを作ってみよう! / ★自由くーかん★
 → 傘ラジオの実験
 → 傘ラジオの実験2
 → 傘ラジオの実験3
右上の傘ラジオ画像も,同ブログから。
(2007.05)

▲なお,ゲルマラジオについて本も書かれている小林健二さんによる,大変面白いキットが発売されています。
銀河通信社 ラジオキット http://www.aoiginga.com/crystalradiokitFrameset-1.html
 → 銀河通信社 鉱石ラジオキット


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sinさん、コメントありがとうございます!
番組見てた当時は分からなかった事が、長じていろいろ解明されるのは嬉しいものですね。やっと追いつけた!という喜びはひとしおです。
「独占女の60分」という番組名、おぼろげに記憶がありますが、丹羽一夫さん&ゲルマラジオとの組合わせは奇妙です(笑).

| Nishi(管理人) | 2013/04/05 9:16 AM |
 丹羽一夫さんの著作「やさしいラジオの作り方」に、バケツに電源コードを50回巻いたゲルマラジオがあります。子供のころは電気抵抗を小さくするためかなと思っていたけど、リッツ線の代用で、電流の表皮効果を避ける意味があったのではと思います。本は無くしましたが、回路図やタップの取り方は記憶しています。タップで周波数の大きく離れた放送局を選びます。タップは10回ごとに、全体は直径30cmのバケツに50回巻きます。ゲルマニウムダイオード、抵抗器、コンデンサーの検波回路にクリスタル(セラミック)イヤホンをつなぎます。強電界地域ではアウトプットトランス5〜7オーム付のスピーカーが鳴らせることも書かれていました。
 この電線コイルを巻いたバケツラジオは、TV番組の「独占女の60分」で、丹羽一夫さんが作り方を紹介していました。何十年も前の話です。
| sin | 2013/04/04 10:45 PM |
中田さん>
確かに右にいらっしゃるゲストは安井先生ではありませんね。
ご指摘ありがとうございます。早速修正いたしました。
| Nishi(管理人) | 2009/08/11 11:58 AM |
写真の左の聞き手は安井さんではありません。とうじ安井さんはもっと若かったですよ。ですから桂田さんでしょう。話しているのは,JA1COです。でもどうしてこの写真があるのかな。NHKの広報写真?

| 中田 広 | 2009/07/04 6:23 PM |
『傘ラジオ』紹介していただきありがとうです!
感謝感謝です♪ど素人の私でも作れるかなぁって不安でしたが・・・
自分で部品を集めて、作るっていいもんですね!


| なな | 2007/05/28 6:07 PM |
エントリ,ご覧いただきありがとうございます。
傘ラジオ実験に刺激を受けて,昔作った作品アップしてみました。このブログの久しぶりの更新です。
スパイダーコイルは交互に線を重ねるので,確かに手芸感覚です。戦前のラジオのコイルには,カゴを編んだみたいなのも有るそうです。

| Nishi | 2007/05/21 9:37 PM |
またまたリンクからお邪魔します。
また、面白い形のゲルマラジオですね。
一瞬、手芸の刺繍用の木枠かと思っちゃいました(笑)
ダンボールなんですね。しかも巻き方も手芸っぽいです。
直径35cmでも聞けるんですね♪




| なな | 2007/05/21 3:40 PM |
> ななさん
コメントありがとうございます!
上の雑誌はちなみに1974年発行のものです。エネルギー節約→「省エネ」というのは,1973年の石油ショックの影響で生まれた言葉です。今は排出二酸化炭素の削減というテーマに変化していますが,なんとかエネルギー消費はおさえなきゃ・ですね。

ゲルマニウムダイオードは,すでに旧式な部品で一般には用途がないので,製造中止になっているはずです。現在あるものが無くなればそれでおしまい。
現在似たようなものでもっと性能の良い「ショットキー・ダイオード」というものがありますし,無くなって本当に困る・という事はないと思います。
| Nishi | 2007/05/18 9:26 AM |
バケツ型とはおもしろいです。
「エネルギー節約の時代にぴったり」ってところが今の時代にピッタリのサブタイトルですね。

ゲルマラジオってアイデア次第でいろんな形が出来るから面白いです。それに電池を使わないのが面白い。
そういえばゲルマニウムダイオードって貴重なものなんですか?検索すると生産中止なので貴重とか書いてありましたが??



| なな | 2007/05/18 12:26 AM |
jump_runさんから次のようなご指摘をいただきました。
> もしかしたら検波用に鉱石を使ったのでは?と
> ありますが、わたしの手元の当時のメモによると
> SD46(しかもブリッジを組んでいるので4個!)
> を使っています。
> それから、コイルはタップを出していません。
情報・ありがとうございました。
| Nishi(管理人) | 2005/08/13 1:12 PM |









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